天気の良い昨日、ひとり一日長野旅行をしてきた
お目当ては、御代田町で9/30まで開催されている、国内外の作家の作品が見れる”浅間国際フォトフェスティバル(Photo Miyota 2018)”
山々に囲まれた豊かな自然の真ん中で、風のざわめきや緑の香り、晴れていれば太陽の光などをフルに体感して作品を楽しめる屋外展示スペースに、強いストロボやVRなどを使って作品を体感出来る屋内スペース。全体のサイズ感・作品の量ともにちょうど良く、じっくり見ても一時間半ほどで終えれて、久しぶりに目一杯楽しめた(告白すると、美術館鑑賞は基本的に途中で飽きてしまうから辛い)
最近の写真作品を見ていて思うのは、PCソフトを使って画像解析したり合成したり、キャプチャーしたものを再編集したり、昔風の「写真を撮る」ことに重きをおいていない作品が多い。面白いことに、それをやっている人たちは(私が知っている限りは)皆男性作家さんなのだが
全部面白かったなか、何気に今回一番楽しんだ作品は、アメリカ人作家Charlie Engmanが実のお母さんを撮影したVR作品。お母さんを様々な姿に変装させて色々な場所で360度撮影しており、パンクロッカーの格好をしたお母さんがヤンキー座りでこちらにガン飛ばしている頭上にVRを動かしたら夜中の電車がガタガタガターと走って行って、夜空が見えて…VRの情報量って、ほんと、すごいなと思った。全く違う角度で作品にアプローチできる。未来だ。
https://imaonline.jp/art…/interview/20180914charlie-engman/…
会場を後にして、ザ・田舎という感じの国道沿いをひたすら歩いてお目当てのお蕎麦やさんへ向かう
その道のりも楽しくて、変なタイ焼き屋に出くわしたり、クルミの木が普通に道路沿いにあって拾ったり、見たことない植物の実があったので食べてみたり(美味しかった。調べて見たら”現代人はあまり食べない”「ヤマボウシ」らしい)
小学校の時の片道一時間の森道の登校を思い出して、懐かしくなった
雑草やツタ、コスモスの匂い…スーパーに並ぶ野菜じゃなく、道ばたの草木や果実などで季節を自然に感じ取っていた時代。自分の子供にコレを体験させたい気持ちはありつつも、普通に都会で人生の選択肢を増やしてあげた方が本人にとってはいいのかと(私がそうだった分)なんとも悩む。できてから悩めって話ですが。
お蕎麦やさんでは、とろろ蕎麦に山菜をトッピング
山芋は近くの村で作られているらしく、ローカル感にワクワクする
「ねぇーちゃん、天そば!」と近所のおじいちゃん客に言われて「はいはい〜^^」と答えるおばちゃんがチャーミングでとっても可愛い
貴乃花親方の引退についてやんややんや言ってるワイドショーを”貴ノ花、小学生の時好きだったなぁ〜”と何の気なしに見てたら「はい〜お待たせしました!(ドン!)」とお蕎麦が来て、その手打ち感溢れるそばに感動&うずらの卵黄、新鮮すぎて箸でつまんでも全然破けないことにも感動。お汁まで飲み干しておばちゃんにお礼を言って、駅に向かう。
この後なぜか図書館で「朝ごはんはすごい!」という本を読み耽るハメになるんだが、そこは割愛して、本日最後(というか裏メイン)の目的、温泉に行くことにした
星野温泉・トンボの湯という、中軽井沢駅から徒歩25分くらいの避暑地にある綺麗な温泉
おそらく星野リゾートが関わっているのだけど、よく分からない
http://www.hoshino-area.jp/archives/area/tonbo
0~300円の別府温泉に慣れているせいか、1300円という価格に一瞬ひるんだが、露天風呂の美しさに途中で「1300円は致し方ない」と思えるほど、とにかく素敵な温泉だった
木々、というか森に囲まれた広い露天風呂はそれ自体が芸術作品のようで、絶え間なく立ち上がる白い湯気に、湯の表面に光が反射したものが葉っぱを照らして複雑にプログラミングされたかのようにゆらゆら・キラキラと輝く。あまりにもそれが美しくて魅入ってしまい、気づいたら「呼応する木々、揺らめく壁面」という何処かで聞いたことある作品タイトルをつけてしまい、終いにはこれを「インスタレーションアートです!」といって発表したら、いま目の前でじっと目をつぶって湯に浸かってるおばちゃんたちも一気に観賞モードになってスマホを取り出したりするのだろうかと思ったり
「わ、ちょっとおばあちゃん、そっちは水よ!」
ゆっくりゆっくり腰を曲げて、風呂桶に手を伸ばそうとしているおばあちゃんに向かって、隣で湯に浸かろうとしているおばちゃんが叫ぶ。娘だろうか
あ〜、という様子でゆっくりゆっくりお湯の方へと向かったおばあちゃん、半分湯に入っている娘に向かって
「あんたコレ」
と言いながら、娘の背中に貼られたピップエレキバンを剥がす
ピリピリピリ…
あぁ、家族だなぁ
なんだか笑ってしまう
それにしても、男風呂はいざ知らず、女風呂ではみんな割によく喋る
スローなJAZZが流れるお洒落サウナに入ったら、おしゃべりをしている30代後半くらいの友達であろう女性2人がいた
他人が入ったことによって声のボリュームは下がったものの、おしゃべりは止まらない
「最近寒いから、鍋ばっかりだよ〜」
「わかるー!!最近冷えるよね〜」
「昨日すき焼きしちゃったよ久しぶりに」
「私はまたグラタンだったよ」
「あっ、グラタン!この前教えてもらった牛乳、すごいいい!」」
「あーあれいいでしょ〜?コーヒーに入れても美味しいんだ。」
「コーヒーって言えばさ、この間のコーヒーさぁ…」
寒い話から、いつの間にかコーヒーの話に一瞬で変わる
これぞ女性の会話と言うべきか
永遠に展開し続けて終わりがない、気づいた頃には始まりをすっかり忘れている
クノールカップスープの粉を使った手抜きグラタンの作り方を聞いたところで、サウナを出てお湯に戻ると、ハチが湯の表面でアップアップしていた。とっさに手を伸ばそうとするが、コレで刺されたら悲劇だ、と思い直して、近くで見つけた葉っぱをハチに差し出す
無事救出できて、岩の上にハチをおくと、なぜかその隣でワタワタしているトンボがいた。
ひっくり返って、積んだ状況になっている。今度は直接手で元に戻してあげる。
それにしても、どうやってハチは水面で溺れて、トンボはひっくり返るハメになったんだろう。
ハチの溺れはともかく、トンボの「一回でもひっくり返ったらゲームオーバー」って、人生としてハードモードすぎやしないか?トンボがかわいそうだ。色々悩みはあるけど、滅多なことでは死なない人間でよかったと思う
おしまい(最後てきとう)